柳生新陰流の世界を探求

柳生三代と「フロー理論」

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柳生の芸能とフロー理論

「フローは私たちの努力とは無縁の自然な人生の開花であり、私たちを他者や宇宙と調和した

葛藤のない人生に導く。

フローに浸されていると偶然が次々起こり、出来事が収まるべきところに収まり、障害が消え去る。

人生は無意味な戦いではなくなり、納得のいく目的と秩序の感覚に満たされる。

フローは人生を変える莫大な力を秘めている。というのも躍動的なエネルギーに満ち、人生に

間違いなく喜びと活気をもたらしてくれるからだ。」

チャーリーン・ベリッツ、メグ・ランドストロム『パワー・オブ・フロー 幸運の流れをつかむ

新しい哲学』菅 靖彦訳(河出書房新社)から抜粋

浩大なる自然の摂理。古来より人々は自然を愛し、敬い、恐れ、それを「神」とも「天」とも

「宇宙」とも呼び、共に暮らして来ました。

しかし文明の発達とともに人間はいつしか自然を忘れ、破壊し、生態系の大きな輪から乖離して

しまいました。我々の祖先はその自然と人の溝を埋める手段として「芸術」を生み出したのです。

枯山水の庭園や盆栽絵画等に見られるように自然を取り込み、ある空間に自然を再現・再構築する

ことにより大自然の流れの中に自らを還元しようという試みが行われ、その結果が「芸術」として

昇華したといえるでしょう。

武術も能・狂言・謡曲・雅楽等と同じくかつては『芸能』という大きな枠で捉えられていた

身体芸術の一つ(武芸)です。

四百年程前に新陰流という身体芸術に夢中になった一族がいました。それが柳生一族です。

世間は下克上の戦国時代の最中で武士がみな立身出世に血眼になっていた時に、柳生石舟斎は

領地を失い、戦にも参加せず、世を捨ててひたすら新陰流に取り組んで研究していました。

その武術三昧の結果 柳生一族が手に入れたものは、武士としての最高の地位と名誉でした。

将軍家指南役という武士の頭領である将軍のさらにその師匠という地位に就き、その名誉は

現在でも燦然と輝いています。

では何故戦国という競争社会に背を向け、武術のみに熱中していた柳生家が逆にそのような

栄誉を(結果的に)得ることが出来たのでしょうか。

その秘密を米国の心理学者チクセントミハイが提唱した「フロー理論」という観点から見てみま

しょう。

日本語で「流れ」を意味するFLOW(フロー)とは簡単に言えば、いかなる報酬も求めず、

自分の好きな事・本当に喜びを感じる事に没頭すること(内発的報酬による活動)により

シンクロニシティ(共時性・不思議な偶然)が多発して運が良くなっていくという考え方です。

この概念はいまでは政治・経済・スポーツ・芸術・芸能等あらゆる分野に応用されています。

しかしながらこの「フロー」自体は新しく出来たものではなく、太古より人間の暮らしの中

に脈々と流れていた「大いなる力」を理論化したものです。

石舟斎兵法百首より

「兵法は浮かまぬ石の舟なれど 好きの道には捨てられもせず」

「兵法は器用によらず其人の 好ける心のたしなむにあり」

これらの歌を見ても石舟斎が地位や名誉といった外発的な動機によらず、新陰流という新しい

剣術に出会い、ただそれが好きで「もっと研究したい。」「もっと極めたい。」という純粋な

内発的動機に基づいて武術をやっていたのは明白です。

この内発的欲求で物事に熱中することがフロー状態に入る鍵となります。

フロー状態に入ることにより石舟斎は上泉伊勢守からの課題である「無刀の位」を完成させ、

徳川家康との出逢いを果たし、柳生家の運命の扉を次々と開けていきました。

続いて宗矩も将軍家指南役となりフロー状態に入ります。父石舟斎の新陰流を「天下治国の剣」

柳生新陰流へと大成させ、『兵法家伝書』等の兵法書も多く残しました。

褒美を固辞し、必要最小限の加増のみで大名(一万二千五百石)となり、大目付として数々の

難事件を解決しましたが、臨終において全ての家禄を返上するという潔さは外発的報酬を

欲しないフロー状態の人の特徴です。

高い志で柳生流のフローに乗り、江戸時代という世界に誇る三百年にもわたる平和な時代の

礎を築きました。

十兵衛も「月之抄」はじめ彼の多くの著作を見ればいかに武術にハマっていたかがわかります。

地位を捨て野に下り、大自然に立脚した「芸術の剣」を求めてフローを呼び込みました。

自由でありながら、父宗矩の裏方として諸国を巡り、平和の剣を広めて徳川幕府確立に寄与

しました。

柳生流の他にも優れた武術は無数にありますが、柳生流が他流と決定的に違ったのは、

その一族が集団でフロー状態に入り、大きな幸運を次々に呼び寄せて、結果的に新しい時代を

創ったという事実です。

フローの現象は大小様々な事例が報告され研究が続けられていますが、このように一時代を

創った大きなフローは他に例が無いのではないでしょうか。

柳生一族は『柳生新陰』という『流(フロー)』に乗って新しい時代を切り開いた情熱的

芸術(兵法)集団であり、武術に熱狂した結果がフローを生み、大自然(宇宙)と直接

つながって「その時代の概念(パラダイム)」を変えてしまったのです。

「人」と「時代」をつなぐ『触媒』が芸術であり、芸術には『力』があります。潜在的に

自然回帰を求める人間の強い『力』があります。

芸術の『力』を『流(フロー)』に乗せることが出来れば、多くの問題は消え去り、

時代を変えていけるでしょう。『芸術』こそ21世紀を開く魔法の呪文です。

あとはそこへ没入できる環境(場所・空間)があれば今日から出発出来るのです。

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